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令和3年が開けてすぐのこと

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令和3年が開けてすぐのこと、同僚のケアマネジャーから布草履を渡された。
聞けば、見知らぬ人に駐車場で声をかけられ、私に渡してほしいと言われたとのこと。
(悠悠の事業所名が車に書いてあったので声をかけられたらしい)
場所と名前を聞くと、10年以上も前に私が担当した方の娘様からだとわかった。
当時の訪問入浴の支援や看取るまでの娘様の葛藤や想いが蘇り、懐かしさと同時に
元気にされている事をとても嬉しく思った。
後日、その駐車場に車を止めた時、偶然に自宅から出てこられた娘様を見かけたので
声をかけて布草履のお礼を伝えた。
以前と変わらずてきぱきとされた方で、今から散歩に行くところだと言われ…
そしてちょっと待ってと自宅に戻ると布草履をひとつ抱えて出てこられた。
先日あなたに事づけたケアマネジャーにもあげて欲しいと言って手渡された。

私たちの仕事はできれば一生関わらずに済むなら関わりたくない職種だと思う。
介護を終えた家族もそうだろう。
「私に何かあったら頼むよ」別れ際そう言われたが、お互いできるだけ関わらずに済むよう『元気で』と、心の中で思った事は一緒だったに違いない。
几帳面に編まれた布草履を見ながら暖かい気持ちになった年明けだった。

                          悠悠タウン江波居宅
                            清見久美子