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~歳の瀬によせて~

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10年以上前に、ヘルパーとして、訪問していた頃の話です。
マンション上層階の部屋、一枚の写真の前で、その女性はいつも読書をされていました。
(娘婿が地中海の片田舎で写した、陽だまりの中、白い石の建物、木の椅子、犬が一匹歩いている、光と影のコントラストが素敵な写真でした)
ふとした会話から、「私も本は好きですけど、根気がなくて、読むのは短編物ばかりです。
何でもすぐにやってみますけど、続かなくて・・・」と、言うと、その方は、「何でも出来て、いいじゃないですか。それが一番ですよ」と、優しく言われました。
その言葉は、自分の飽きっぽいというコンプレックスを、そんなに気にしなくていいかもと、思わせてくれました。
足の不自由なその方にとって、好きな時に、好きなところへ行けて、何でもやってみる事が出来る私を、「それだけで十分よ」と言う、気持ちだったかもしれません。

その後、ケアマネジャーになり、職場も変わり、その方とは、それきりになってしまいましたが、何年経っても、そのマンションの前を通ると、あの時の言葉と、なぜだか部屋の写真を思い出します。

今も、人との出会いの中で、私の、ちょっとやってみる、は続いています。
最近は、俳句をされているお二人と出会い、思いついた時に俳句を作り、訪問時に披露しています。
俳号をお持ちで、若い時から投稿を続けてこられた方々です。
お一人は真剣に推考してくださり、もうお一人は拙い私の俳句を、「うわぁ~、いいですねえ」と、目を輝かせて褒めてくださいます。
車椅子生活で、もう俳句は卒業したと言われ、外出はされていませんが、俳句を通して、同じ景色を感じてくださいます。

モミの木に冬の星を飾りつけ

川面に映る橋の影も凍る夜

今年はどんな年でしたか
来年が良い年になりますように